南郷刺し子は、福島県南西部に位置する南会津町南郷地域で継承されてきた刺し子の技法です。
刺し子は、針を使って布地に文様を刺す日本の伝統的な手仕事です。南郷刺し子の一番の特徴は、刺す対象が絆纏(はんてん)であること。藍染の木綿の生地に白い木綿糸で、長寿吉兆や繁栄、魔除けなど、縁起が良い意味を持った文様が全面に刺しゅうされた絆纏は、全国的にも珍しいものです。
絆纏は主に女性が夫や息子のために製作していました。一針一針 丁寧に描かれた文様は、家族への深い愛情に裏付けられたもの。完成した絆纏は、共同作業の場で男性が着用し、大切な晴れ着としての役割があったそうです。